大腸がんの実状と早期発見の方法
女性で死亡数が一番多い「大腸がん」
少し前まで、女性のがんで一番多いのは「乳がん」だと言われていましたが、国立がん研究センターの最新がん統計によると、2017年の死亡数が多い部位は「大腸」となっています。
便潜血検査だけではわからない「大腸がん」
健康診断や人間ドッグの場合、大腸がんの検査は、問診と便潜血検査から始まるのが一般的です。そして、異常があって初めて内視鏡検査などの精密検査へと進むのです。しかし、その頃に見つかるがんは、ある程度進行しているケースが多いといいます。できれば、早期発見したいものです。
それには、便潜血検査だけではなく、はじめから大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。40歳を過ぎると、大腸がんのリスクが高まると言われています。便潜血検査に出ない早期がんを見つけるには、その方法が確実でしょう。
ではなぜ、このタイミングで検査をおすすめするのか。それは、私自身が思いもよらないことをきっかけに大腸の早期がんを見つけ、内視鏡治療で取ることができたからです。
私の「早期大腸がん」治療体験
きっかけは通勤時の衝突事故
病院勤務をしていたとき、疲れが溜まっていて朝早く起きられない時期がありました。なんとしても間に合うように出勤しなくてはとタクシーに乗っていたときのこと。混雑している大通りを避け、一本隣の道で信号待ちをしていたとき、後ろから乗用車が衝突してきたのです。そのときは何ともなかったのですが、仕事を始めると首に違和感が出てきて、痛みを感じました。乗り換えたタクシーの運転手さんに、後から症状が出ることがあるからと病院に行くことをすすめられていたこともあり、念のため整形外科に行くことにしました。
骨などに異常はなく、首と背中のいわゆる「むち打ち」でリハビリに通い始めます。そんなあるとき、以前から時々症状のあった背中と腹部の痛みが現われ、併設されていた内科の医師の許可を得てからマッサージを受けることになりました。内科の問診で家族歴なども聞かれ、年に一度は検査を受けることをすすめられます。そして、そのタイミングで紹介状を書くからと、大きい病院で検査を受けることになったのです。
その日に決まった大腸内視鏡検査
仕事を休んで病院へ行き、消化器内科の胃腸と肝胆膵の両方を受診することになったのですが、私の休みと診察日の関係で、先に胃腸のほうを受診することになりました。受診すると、すぐに胃腸の内視鏡検査を受けることが決まります。胃は何度か受けたことがありましたが、大腸は初めてのことでした。できれば避けたい検査だと思っていたのですが、断る理由もなく、検査日を予約して診察を終えたのでした。
検査では取れない大きさのポリープが見つかる
胃の検査が終わり、準備を整えて、いよいよ大腸の検査へ。そこで見つかったのは上行結腸にあった、かなり大きなポリープ(腺腫)でした。一般的に小さいポリープが見つかると、その場で取ってしまうことが多いようですが、私の場合は、検査では取れない大きさのものだったのです。表面の一部ががん化している可能性もあるかもしれないこと、まだがん化していなくても、放っておくと、いずれはがん化してしまうものであることから、後日、内科的な治療を行うことになりました。
早期大腸がんの発見
後日、治療前日から入院して治療を受けました。そして、細胞診の結果、取った腺腫(ポリープ)の一部ががん化していたことがわかったのです。手術に関わってくださった医師の皆さんが、このタイミングで見つかって本当よかったと言ってくださいました。私が痛みを訴えていた場所とは全く関係ない場所だったのですが、本当にツイていたと思います。
タクシーで衝突事故にあったことをきっかけに、内科受診から検査につながるとは、まさか思ってもいませんでした。しかも、内科を受診した症状も、大腸とは関係ない場所のものだったからです。家族や親戚にも、大腸がんを経験した人はいません。今回の経験から、早期大腸がんを発見するには、内視鏡検査を受けるしかないのだということがよくわかりました。
女性の死亡数トップになっていることからも、決して他人事ではない大腸がん。40歳を過ぎたら、大腸検査は便潜血だけではなく、内視鏡検査をおすすめしたいと思います。
大腸がんの早期発見についてわかりやすくまとめたページがあります。ご興味のある方はぜひご覧ください。
大腸がんの早期発見のメリットと検査法を解説します~大切な人にも教えてあげよう~ │ 駒込病院 スタッフコラム